地震の二次被害とは?企業が行うべき対策と建物の補修事例を解説

地震が発生すると、建物の倒壊や火災といった直接的な被害だけでなく、その後に起こる二次被害によって企業活動が大きな影響を受けることがあります。
たとえば、工場の床が傾いたり沈下したりすることで機械が動作不良を起こす、物流が滞るといった問題は、操業の停止や業務効率の低下につながりかねません。
本記事では、地震による二次被害とはどのようなものかを整理するとともに、企業が備えるべき対策や、実際に建物に被害が出た際の補修のポイントについて、事例を交えて解説します。
目次
地震の二次被害とは?その種類と影響

地震による被害は、建物の倒壊や設備の破損といった一次的な損傷だけにとどまりません。その後に発生する二次被害も、企業活動に大きな影響を及ぼす要因となります。
ここでは、工場や倉庫が地震により受ける主な二次被害と、その影響について見ていきましょう。
設備損壊によるリスク
地震によって機械や配管、電気設備などが損壊すると、生産ラインが停止するだけでなく、漏電や漏水、火災といった二次災害の引き金になることもあります。
復旧には専門的な知識や部品調達が必要となるケースも多く、再稼働までに相当な時間を要することがあります。
床・地盤の沈下が引き起こす影響
地震による地盤の液状化や床の沈下は、目に見えにくい形で操業に支障をきたします。
床の傾きにより機械が正確に動作しなくなったり、フォークリフトの走行が困難になったりするなど、日常的な業務にも影響が生じる恐れがあります。
物流・供給チェーンの寸断
工場や倉庫が地震で機能不全に陥ると、製品の出荷が滞り、取引先や顧客への供給が遅れる恐れがあります。
さらに、交通インフラや周辺企業の被災も重なると、広範囲にわたって供給網が断たれ、経営全体に影響が及ぶことも少なくありません。
従業員・周囲への安全リスク
建物の一部が損傷した状態での作業は、従業員の転倒や機材の落下など新たな事故を引き起こすリスクがあります。
また、地域住民や周囲の企業に対しても、倒壊の危険や火災の延焼リスクが及ぶ恐れがあります。
修繕費用・対応コストの増大
一度の地震で複数の問題が発生すると、その修繕や対応にかかる費用は急速に膨らみます。
想定外の支出が資金繰りを圧迫し、経営の見直しを迫られることもあるため、事前の備えと速やかな対応が欠かせません。
企業が行うべき地震の二次被害への備え

地震による被害を最小限に抑えるためには、揺れそのものへの対策だけでなく、二次被害への備えも欠かせません。ここでは、企業が事前に講じておくべき具体的な対策について解説します。
事前の耐震診断と補強
まず基本となるのが、建物の耐震性を正しく把握することです。専門業者による耐震診断を受けることで、構造的な弱点やリスク箇所が明確になります。
必要に応じて柱や壁の補強工事を実施することで、倒壊やひび割れなどの被害リスクを大きく軽減できます。
生産設備・什器の固定と配置の見直し
機械や棚などの重量物が地震の揺れで転倒・移動すると、従業員の安全や生産ラインに大きな影響を与えます。
あらかじめアンカー固定の実施や、倒れにくい配置に変更するなどの対策により、被害を抑えることが可能です。
床下の空隙・空洞の点検
建物の床下に空隙や空洞があると、地震の揺れによって床の沈下やひび割れが発生し、設備の傾きや機械の振動・建物の損傷などにつながる恐れがあります。
特に、工場や倉庫など重量のある設備を設置している施設では、気づかないうちに業務や安全に支障をきたす恐れがあるため、床下の状態を定期的に点検することが重要です。
事前に床下の空隙・空洞を調査し、必要に応じて充填や補修を行うことで、地震による二次被害のリスクを軽減し、建物や設備を長期的に安全な状態で維持しやすくなります。
防災マニュアルの整備・訓練
いざという時に迅速に動くためには、防災マニュアルの整備と定期的な訓練が不可欠です。
避難経路や初動対応、連絡体制などを平時から周知しておくことで、混乱時でも迅速に対応できるようになります。
地震保険・BCP(事業継続計画)の整備
建物や設備への補償として地震保険を検討するのも有効な備えのひとつです。
また、地震発生後も業務を維持・再開するためのBCP(事業継続計画)を策定しておくことで、復旧までの時間とコストを最小限に抑えることができます。
日々の点検・メンテナンスの重要性
劣化した建物や緩んだボルトなど、日常的な点検・整備が行き届いていない箇所は、地震の際に二次被害を招きやすくなります。日常的なメンテナンスの積み重ねが、非常時の被害軽減に直結します。
地震後の沈下や傾斜を放置するとどうなる?業務や安全への深刻な影響

これまでにご紹介したように、地震はさまざまな二次的な被害を引き起こす恐れがあります。ここからは、特に沈下や傾斜が放置された場合に、業務や安全面にどのような影響が及ぶのかを、具体的に解説します。
地盤沈下や傾斜進行による構造的リスクの増大
初期のごくわずかな沈下や傾斜であっても、地盤の支持力が低下したままの状態を放置すれば、沈下や変形が進行する危険があります。
特に、建物が不同沈下を起こすと、基礎構造に不均等な応力がかかり、建物全体のバランスが崩れてしまいます。また、地中に空洞が形成されることで、建物の自重を支える力が局所的に失われ、さらなる沈下やひび割れを誘発します。
こうした状態は構造耐力上の欠陥と見なされ、長期的には建物の使用継続が困難になる可能性があります。
クラック発生と床スラブの局部的な陥没リスク
不同沈下により、床スラブ(鉄筋コンクリートの床面)に局部的な曲げ応力や引張応力が集中し、クラック(ひび割れ)が発生します。これが進行すると、コンクリート内部の鉄筋が腐食しやすくなり、構造体の耐久性が著しく損なわれます。
また、クラック部位に雨水や薬品などが浸入すれば、劣化はさらに加速し、最悪の場合、床の一部が陥没することで、作業員の転倒事故や重量物の落下・転倒による重大な労働災害を招くリスクも高まります。
機械精度の劣化と生産工程への影響
床面の不陸や建物の傾斜は、精密な水平調整を要する産業機械や設備に深刻な影響を与えます。
たとえば、NC工作機械や自動搬送装置は、わずかなレベルのズレでも加工誤差や搬送不良を引き起こし、製品品質のバラつきや歩留まりの悪化につながります。
また、傾斜や振動が連鎖的に伝わることで、機械自体の早期劣化や故障、さらには設備全体の稼働停止を招く恐れもあります。加えて、フォークリフトやAGV(自動搬送車)などの車両の走行安定性にも悪影響が及び、物流の効率や安全性にも深刻な支障をきたします。
建物に被害が出た際の対応と補修のポイント

先に述べたように地震による被害を受けた建物や設備は、放置すれば被害が拡大し、業務に深刻な影響を及ぼす恐れがあります。特に、床の沈下や傾斜といった目に見える変化がある場合は、早期の対応が不可欠です。
ここでは、二次被害を防ぐための基本的な考え方と、補修に向けた検討の流れについて解説します。
被害状況の把握とモニタリングの実施
まずは、建物全体の傾斜状況や床のたわみ、クラックの位置と進行具合などを専門機器を用いて正確に測定します。傾斜角や沈下量を継続的にモニタリングすることで、被害の進行度や緊急性を判断しやすくなります。
あわせて、設備の振動状況や騒音の変化も確認しておくと、設備側からの異常兆候も把握できます。
地盤・基礎の調査と原因の特定
被害の多くは、建物自体だけでなく地盤や基礎の不具合にも起因するため、必ず地盤調査や基礎構造の確認が必要です。
たとえば、床下に空洞が形成されていたり、地盤沈下が進んでいたりする場合は、補修方法も根本的な対策が求められます。専門業者による地盤診断を通じて、沈下・傾斜の原因を正確に把握することが重要です。
補修方法の選定と長期的な対策
被害の程度や原因に応じて、適切な補修方法を選ぶことが重要です。軽度な傾きにはウレタン樹脂注入や床レベリング、重度な沈下には薬液注入や鋼管杭による沈下修正など、方法はさまざまです。
いずれも一時的な補修にとどまらず、再発防止まで見据えた施工を行うことで、建物の安定性と安全性を回復できます。
関連記事:薬液注入工法による地盤改良・沈下修正|工事内容や他工法との違い
【熊本県】物流センターでの地震被害復旧 :ウレタン注入で段差を短工期修正
ここまで、地震による被害とその対策について解説してきました。ここからは実際の現場での復旧作業の流れを具体的な事例でご紹介します。
熊本県の物流センターで実施された、地震被害の補修事例です。
施工概要
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施工面積:約1,798.5㎡ 最大沈下量:107mm 工期:6日間 |
熊本地震の影響で土間床に段差が生じ、フォークリフトでの荷役作業に支障が出ていた物流センター。この問題に対し、当社のアップコン工法を用いてわずか6日間で床の沈下・段差を修正。施工完了直後から、通常どおりのフォークリフト走行が可能となりました。
課題とお客様のご要望
地震により床が沈下し、最大で約40mmの段差が発生。
この段差が原因でフォークリフトの走行が困難となり、倉庫内での荷物搬送作業に大きな支障をきたしていました。

お客様からは以下のようなご要望がありました。
- できるだけ短期間で復旧したい
- 営業を止めずに補修したい
- 沈下の再発リスクを抑えたい
施工手順:アップコン工法による沈下修正
1. 養生・準備
施工箇所を養生し、必要な機材や材料(ウレタン注入用ホースや注入ガン)を搬入・展開します。今回は約80mの長さで敷設しました。
2. 削孔(φ16mm)
注入位置をマーキング後、直径16mmの小口径で1m間隔に削孔します。地盤内に均等にウレタンが広がるよう、影響半径(約1~1.5m)を考慮して施工範囲全体にわたり計画的に穴を開けていきます。
※削孔時には集塵機を使用し、粉塵の飛散防止対策も徹底。
3. ウレタン樹脂の注入
レーザー墨出し器で常に床の高さを確認しながら、床下へウレタン樹脂を注入します。床の低い部分から順に施工し、周辺部も含めて慎重に調整します。
施工結果と効果

今回の施工では、約40mmあった床の段差をフラットに修正しました。補修後は速やかにフォークリフトの走行が可能となり、作業の中断を最小限に抑えながら業務を再開できました。
また、床の傾斜や段差による転倒リスクや機材の不具合も解消され、現場の安全性向上にも大きく貢献しています。
▲【熊本県】物流センター 土間床段差修正工事 / 施工完了直後にフォークリフトの走行が可能に
アップコン工法は、沈下したコンクリート床スラブを解体して新設する場合と比較して、大規模な仮設工事や多様な工種を必要としないため、施工性・経済性にも優れていると言えます。
(一般的なコンクリート床スラブの打替え工法とアップコン工法を比較した場合、工期を1/10程度に縮減できます)
「アップコン工法」で地震被害を受けた工場床をスピーディーに補修
地震によって生じたコンクリート床の傾きや段差、たわみ、さらに床下の空隙・空洞といった被害に対し、「アップコン工法」は有効な補修手段です。硬質発泡ウレタン樹脂を用いることで、短期間での修正が可能となります。
既設の床を壊す必要がなく、重機を使った大掛かりな解体工事も不要。機械や荷物を移動せずに施工できるため、工場を稼働したまま補修できる点も大きな特長です。
補修計画の立案から施工、現場管理まで、すべての工程を地震被害への対応経験を持つ自社スタッフが担当。専門教育を受けた技術者が、責任を持って現場の復旧をサポートします。

施工時はミリ単位で床レベル(傾き)を管理しながら、硬質発泡ウレタン樹脂を注入するため、精度が高い高品質な施工を提供します。
詳しい施工の特長や施工の流れ、よくある質問などについては「アップコン工法とは」をご覧ください。
“ウレタン” で課題を解決するアップコン株式会社

私たちアップコンは、ウレタン樹脂を使用して工場・倉庫・商業施設・店舗・一般住宅などの沈下修正をおこなうこと、道路・空港・港湾・学校・農業用水路などの公共インフラを長寿命化させることで暮らしやすい社会とストック型社会へ貢献します。
また、ウレタン樹脂の新規応用分野への研究開発に取り組むことで、自ら市場を創りながら事業を拡大していきます。
「アップコン工法に適合する内容かわからない」「具体的な費用や工期が知りたい」「ウレタンでこんな施工ができないか」など、ご質問がございましたらぜひお気軽にご相談ください。

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