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2025/06/13 基礎知識

工場や倉庫などの土間コンの補修方法は?ひび割れ・剥離・たわみ・傾斜など

工場や倉庫などの土間コンの補修方法は?ひび割れ・剥離・たわみ・傾斜など

今回は、工場や倉庫などの土間コンに発生したひび割れや剥離、たわみ・傾斜などを補修する方法について解説します。また、これらの損傷が生じる原因や、補修するタイミング、弊社アップコンの補修事例(沈下修正)などにも触れていますので、コンクリート床の補修工事を検討されている方はぜひ参考にご覧ください。

土間コンでよくある損傷とその原因

土間コンクリート、通称「土間コン」とは、砂石を地面に敷き詰めた上に、生コンクリートを流し込んで固めたものです。

ここでは、主に工場や倉庫などの土間コンにどのような損傷が発生しやすいのか、それらの損傷がどのような原因によって引き起こされるのかについて詳しく見ていきましょう。

土間コンの損傷と原因①:ひび割れ(クラック)

土間コンで最もよく見られる損傷の一つが「ひび割れ(クラック)」です。表面的な浅いひび割れから、内部の鉄筋にまで達する深刻なひび割れまでさまざまな種類があり、表面上に生じた髪の毛のように細いひび割れは「ヘアークラック」、構造に影響を与える深いひび割れは「構造クラック」と呼ばれています。

ひび割れが発生する主な原因には、乾燥による収縮や、温度変化による膨張と収縮、地盤沈下による床の沈下、機械などの荷重・振動があげられます。

なお、ひび割れから水分などが侵入して鉄骨が錆びてしまうと、錆びた部分が膨張してコンクリートを内部から破壊してしまう「鉄筋爆裂」という現象に発展する恐れがありますので、単なるひび割れと思わず、定期的なメンテナンスが必要です。

関連記事:土間コンクリート床のクラック(ひび割れ)の原因は?種類別の対処方法と注意点

土間コンの損傷と原因②:浮き・剥離(剥落)

次に、土間コンで見られる損傷として「浮き」や「剥離(剥落)」があります。

「浮き」とはコンクリートの表面部分が内部から浮いてしまう現象で、「剥離(剥落)」はこの「浮き」が進行して、コンクリートの表面が元のコンクリートから剥がれ落ちることを指します。

浮き及び剥離の多くは、コンクリートの劣化現象が原因です。中性化や塩害、アルカリシリカ反応、凍害、化学的浸食、疲労などによって劣化が進行し、結果としてコンクリートが弱まり、浮きや剥離につながります。

土間コンの損傷と原因③:たわみ・傾斜

土間コンで見られる損傷として「たわみ」や「傾斜」があります。たわみや傾斜の主な原因は地盤沈下があげられ、特に軟弱地盤や地下水の汲み上げが行われている場所などで多く見られます。また、機械などの荷重や振動、地震による地殻変動も要因の一つです。

特に、元々軟弱な地盤の上に施工された土間コンは床下に空隙が生じやすく、せっかく補修しても再沈下するリスクがあるため、補修時は地盤や建物の調査なども行い、適切な工法を選択しなければなりません。

関連記事:建物(床)の傾き調査は必要?工場や倉庫、商業施設などの傾きを診断する方法

土間コンの損傷を補修するタイミング

土間コンの損傷を補修するタイミング

次に、土間コンに生じたひび割れや浮き、剥離、たわみ、傾斜などはいつのタイミングで補修すべきか、損傷ごとの適したタイミングについて解説します。

ひび割れ(クラック)を補修するタイミング

土間コンに生じたひび割れを補修するタイミングは、0.3mm以上かどうかが一つの目安とされています。これ以上進行すると、ひび割れを通じて雨水や湿気がコンクリート内部に浸入し、爆裂するリスクが高まる上、大規模な補修工事が必要となってしまいます。

軽微なヘアークラックであればDIYで補修することも可能ですので、放置せずにメンテナンスするようにしましょう。

浮き・剥離(剥落)を補修するタイミング

土間コンに浮きが見つかった時は、損傷の範囲と深さから補修するタイミングを見極めるのが一般的です。範囲が狭く、表面上に生じているものであれば、今すぐ補修が必要というわけではないので経過を観察します。浮きにひび割れや剥離が現れたり、範囲が広がり始めたら補修を行いましょう。

また、剥がれた部分が大きい場合や、損傷の進行が速い場合は、鉄筋の腐食やコンクリートの劣化が加速することが想定されるため、早めの補修対応が求められます。

浮きや剥離についても、軽微なトラブルであればホームセンターなどで売られている材料や道具で補修が可能です。ただし応急的な処置になりますので、経過は観察するようにしてください。

たわみ・傾斜を補修するタイミング

床のたわみや傾斜を補修するタイミングは、5/1000(角度に換算すると約0.28度、1メートル離れると5ミリの高低差)の勾配が一つの目安となります。この程度の傾斜が生じていると、床が傾いているという自覚症状が現れ始めます。

また工場や倉庫の土間コンにたわみや傾斜があると、機械の水平維持が困難になる・ラックが傾く・荷物がまっすぐに積めなくなる・床と壁の間に隙間が生じるなどの問題が現れます。

関連記事:「床の傾きの許容範囲は?工場や倉庫の床の傾きを測量すべきケースも紹介

土間コンに生じた損傷を補修する方法

次に、土間コンに生じたひび割れ(クラック)や浮き・剥離(剥落)、たわみ・傾斜を補修する方法について見ていきましょう。

土間コンのひび割れ(クラック)を補修する方法

ひび割れの補修は、液状の補修材をひび割れに注入する方法や、パテ状の補修剤をヘラやコテで埋める方法などが一般的です。使用する補修材は、セメント系、樹脂系、シーリング材などがあり、状態によってはひび割れに沿ってコンクリートをカットし、そこに補修材を充填するケースもあります。

ただし、ひび割れが地盤沈下によって生じている場合、表面的な補修のみでは再度ひび割れが発生する可能性が高く、このような場合、床の沈下や床下の空隙を修正してからひび割れを補修しないと、根本的な解決にはなりません。

なお、前述の通り、ひび割れの幅が0.3mm以下であればDIYで補修することも可能ですが、あくまで見た目の改善や水の浸入を防ぐことが目的の応急処置となる点には注意が必要です。

土間コンの浮き・剥離(剥落)を補修する方法

劣化が進んでいる浮きや剥離を補修する際は、土間コンの一部を削ったり穴を開けたりする「はつり工事」を行い、セメント系やモルタル系の補修材を充填して補修します。はつり工事が原因で後々土間コンに亀裂やひび割れなどのトラブルが引き起こされることもあるので、高い技術と専門性を要する業者に依頼するのが望ましいでしょう。

土間コンのたわみ・傾斜を補修する方法

土間コンにたわみや傾斜が生じている場合は、「沈下修正」という補修工事を実施します。

沈下修正には、既存のコンクリート床を壊して新設する方法や、既存のコンクリート床の上からコンクリートを増し打ちする方法、樹脂モルタルや無機系レベリング材を使用してへこんでいる部分に厚みを持たせる方法、土間コンに小さな穴を開けて床下にウレタン樹脂を注入する方法などがあります。

ウレタン樹脂を注入する「ウレタン注入工法」では、ウレタン樹脂の発泡圧力でたわんだ土間コンを持ち上げて沈下を修正し、たわみや傾斜を解消します。既設のコンクリート床を取り壊すことなく、また床上の機械や荷物などを移動せずに施工が可能なため、操業を停止することなく床の沈下によるたわみや傾斜を効果的に修正することが可能です。

弊社アップコンでは、このウレタン注入工法に属する独自の特許工法「アップコン工法」をご提供しております。

関連記事:【工場/倉庫】土間床の沈下を補修する方法は?施工事例も紹介

関連記事:【一覧】沈下修正の工法まとめ|各工法の工事内容や特徴

アップコン工法による土間コンのたわみ・傾斜の補修方法

アップコン工法は、ウレタン樹脂の影響範囲(半径約1m)を考慮し、原則1m間隔でウレタン樹脂を注入します。これによって、床下の空隙・空洞を100%隙間なく充填すると同時に、再び沈下するリスクを最小限に抑えていきます。

また、ウレタン樹脂注入者と測量者は別に配置し、常にミリ単位でのレベル管理を実施します。適正な箇所から注入を行うことで、床に負担をかけず沈下を修正し、精度の高い仕上がりを提供します。

詳しい施工の特長や施工の流れ、よくある質問等については「アップコン工法とは」をご覧ください。

アップコン工法による土間コンの補修(沈下修正)事例

ここで、アップコン工法による土間コンの補修(沈下修正)の事例をご紹介します。

【福島県】倉庫 土間コンクリート床沈下修正工事 ※動画あり

福島県にある倉庫では、2011年の東日本大震災の影響で床が徐々に沈下し、数年後には床のたわみや傾きが顕著化しました。特にラック設置部分での傾斜により、フォークリフトの爪が正確に入らず、商品の積み下ろしに時間がかかるなど、業務全体に支障をきたしていました。

アップコン工法の特長は、短期間で沈下を修正できる点に加え、床を壊す必要がないため、重たいラックや機械を移動させずに施工が可能なことです。そのため、倉庫や物流センター、工場のように操業停止が難しい施設に最適です。

施工面積約1250㎡、最大沈下量約78㎜の床修正を4日間で完了させました。以下は施工の流れです。

1. 施工前の状態確認

沈下により中央に向かってたわんだ床の現状を確認しました。

2. 施工前測量

オートレベルを使用し、現況の高さを測定。沈下状況を正確に把握しました。

3. ウレタン樹脂注入孔の削孔

注入位置をマーキング後、φ16mm(1円玉より小さい穴)のドリルで原則1m間隔で削孔します。地盤内に注入されたウレタンの影響範囲は半径1~1.5mのため、アップコンでは隙間なく充填されるように樹脂の注入間隔を原則1mおきに設定しています。

集塵機を使用し、倉庫内へ粉塵が飛散しないように吸引しながら削孔します。

4. ウレタン樹脂注入

オートレベル・レーザー墨出し器で高さを確認しながらウレタン樹脂注入作業を行います。

施工範囲の低い箇所から順次、土間コンクリート下に注入し、注入箇所だけでなく周辺部(影響が予想される範囲)の高さも常に確認しながら慎重に注入作業を行います。

5.穴埋

施工終了後、削孔口は無収縮モルタルできれいに埋め戻しました。

床修正後はたわみや傾斜が解消され、フォークリフトのスムーズな操作が可能になりました。商品の積み下ろし時間も短縮され、倉庫内の業務効率が大幅に向上しました。

アップコン工法は、短工期でありながら高精度な施工を実現します。倉庫や工場での床沈下にお悩みの際は、ぜひご相談ください。

施工内容の詳細はこちら

その他の施工事例一覧

土間コンの補修は早めの検討がポイント

今回は、工場や倉庫における土間コンに生じる主な損傷と、それらの補修方法についてご紹介しました。

土間コンに生じたひび割れや剥離、沈下によるたわみや傾斜などをそのまま放置していると、損傷箇所から水分が侵入して安全性が著しく低下したり、天井や壁に隙間が生じたり、陥没や段差が現れたりと、大変危険です。

土間コンの沈下でお困りの場合、アップコンにお気軽にお問合せください。

“ウレタン” で課題を解決するアップコン株式会社

“ウレタン” で課題を解決するアップコン株式会社

私たちアップコンは、ウレタン樹脂を使用して工場・倉庫・商業施設・店舗・一般住宅などの沈下修正をおこなうこと、道路・空港・港湾・学校・農業用水路などの公共インフラの長寿命化をおこなうことで暮らしやすい社会とストック型社会へ貢献します。

また、ウレタン樹脂の新規応用分野への研究開発に取り組むことで、自ら市場を創りながら事業を拡大していきます。

「アップコン工法に適合する内容かわからない」「具体的な費用や工期が知りたい」「ウレタンでこんな施工ができないか」など、ご質問がございましたらぜひお気軽にご相談ください。

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