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2024/10/18 基礎知識

【一覧】沈下修正の工法まとめ|各工法の工事内容や特徴

【一覧】沈下修正の工法まとめ|各工法の工事内容や特徴

今回は、建物やコンクリート床の傾きを修正する「沈下修正」の方法・工法をご紹介します。

各工法の工事内容や特徴、適したケース、注意すべき点の説明、沈下修正の基礎知識や地盤改良との違い、私たちアップコンの独自の沈下修正工法「アップコン工法」についても解説していますので、ご覧ください。

沈下修正とは

沈下修正とは、地震や地盤沈下などが原因で傾き・たわみ・段差が生じた建物やコンクリート床を、水平もしくは元のレベルまで修正する工事です。

沈下修正の方法はいくつか種類があり、例えば、建物全体の傾きを修正する場合と、コンクリート床の傾き・たわみ・段差を修正する場合で適用する工法が異なります。また、建物の構造や修正範囲の規模によっても、適した工法が違ってきます。

具体的には、建物全体の傾きには基礎を押し上げ修正する工法、コンクリート床の傾き・たわみ・段差にはコンクリート床を床下から押し上げる工法や新しいコンクリートに打ち替える工法などがあります。建物構造物の規模や地盤の状態、コスト、工期などを考慮しながら、最適な工法を選択する必要があります。

関連記事:【沈下修正の基礎知識】工事内容・工法・施工の流れなど

地盤改良と沈下修正の違い

地盤改良は、地盤の強度や安定性を向上させるための工事です。周辺で地下水の揚水や掘削工事の予定がある場合、地震による液状化リスクが高い場合、建物の荷重などで地盤に大きな負荷がかかると予測できる場合など、主に建物の建設前に実施します。

対して沈下修正は、すでに沈下や傾きが生じた建物・コンクリート床を修正するための工事を指します。

地盤改良のイメージ写真

【一覧】沈下修正の主な方法・工法

沈下修正で用いられる主な方法・工法は以下の通りです。

沈下修正の工法・方法施工内容①コンクリート打替え工法既設コンクリート床を壊し、新しいコンクリートに打替える工法沈下修正の工法・方法施工内容
コンクリート打替え工法 既設コンクリート床を壊し、新しいコンクリートに打替える工法
コンクリート増し打ち工法 修正が必要な部分にコンクリートを増し打ちする工法
表面処理工法
(セルフレベリング工法)
自己水平性を持ったセメント系床材を流し込む工法
ウレタン注入工法 ウレタン樹脂をコンクリート床下の地盤に注入し、ウレタン樹脂の発泡圧力でコンクリート床や基礎を押し上げる工法
アンダーピニング工法
(鋼管杭圧入工法)
鋼管杭を安定した地盤まで入れて建物を支持し、ジャッキで建物を持ち上げる工法
耐圧板工法 敷設した耐圧板の上にジャッキを設置して持ち上げる工法
土台上げ工法
(プッシュアップ工法)
基礎と土台を切り離し、ジャッキで土台を持ち上げる工法
薬液注入工法 凝固性のある薬液を地盤に注入して沈下した建物を持ち上げる工法

各工法の工事内容や適したケース、特徴などを見ていきましょう。

沈下修正の工法①:コンクリート打替え工法

コンクリート打替え工法は、工場や倉庫、店舗などの既設コンクリート床を解体し、新たにコンクリートを打設する工法です。

コンクリート床の解体工事、地盤の転圧、鉄筋組み、コンクリート打設、養生期間などが行われます。工事そのものの期間は一般的に100平方メートルあたり10日間程度といわれていますが、床上に据え付けている機械や設備、荷物などの移動が必要になるため、さらに前後期間を見積もる必要があります。

この工事期間中は工場、倉庫の場合は操業停止、店舗の場合は営業を停止することが余儀なくされます。

費用や工期、営業損失などの面でデメリットがある一方で、クラック(ひび割れ)や段差、汚れなどが同時に補修できる点はメリットだと言えるでしょう。

沈下修正の工法②:コンクリート増し打ち工法

コンクリート増打ち工法は、沈下が生じているコンクリート床面にコンクリートを増し打ちしてフラットにする工法です。コンクリート打替え工法と同じく、工場や倉庫、店舗などのコンクリート床に生じた沈下を修正する時に用いられる工法で、床上に設置している機械や荷物などの移動や、操業の停止が必要となる場合があります。

コンクリート床下に空隙・空洞がある場合は、そのまま床下に空隙・空洞が残る形になり、さらにその上のコンクリート量が増えるため、その重みによって再沈下のリスクが生じます。
打替え工法と比べて費用は安価で、工期も短くすみます。また、同時に床表面に生じていたクラックや汚れが隠れるため床表面を綺麗にすることが可能です。

沈下修正の工法③:表面処理工法(セルフレベリング工法)

表面処理工法(セルフレベリング工法)とは、沈下が生じているコンクリート床面にセルフレベリング性(自己水平性)を持った床材を流し込んで、フラットにする工法です。主に、工場や倉庫、店舗などのコンクリート床の沈下修正に用いられます。

コンクリート増打ち工法と同様に、コンクリート床下に空隙・空洞がある場合は、床材分の重量が増えるので再沈下する恐れがあるのと、施工中は床上の機械や荷物を移動させる必要があります。

一方で、騒音がほとんどないため周辺に迷惑をかける心配がなく、表面に生じたクラックや段差、汚れなどが隠れるため、床表面を綺麗にすることが可能です。

沈下修正の工法④:ウレタン注入工法

ウレタン注入工法は、沈下が生じているコンクリート床下の地盤にウレタン樹脂を注入します。ウレタン樹脂の発泡圧力でコンクリート床や基礎コンクリートを押し上げ沈下を修正し、コンクリート床の傾きやたわみ、段差、床下の空隙・空洞を解消する工法です。

工場や倉庫、店舗などのコンクリート床の沈下修正に加えて、住宅や事務所の沈下修正にも適しています。

私たちアップコン独自の沈下修正「アップコン工法」も、このウレタン注入工法に属する工法となっております。

メリットは工期が短く、工場・倉庫の操業を止めずに沈下修正が可能ということです。
床上にある機械や荷物などがある状態でも、ウレタン樹脂で沈下した床を押し上げることができ、機械や荷物の移動をせずに、操業を止めず修正することが可能です。
他のウレタン注入工法とアップコン独自の沈下修正工法「アップコン工法」の違いについては、後ほど詳しくご紹介します。

操業を止めずに沈下を修正するアップコン工法
操業を止めずに沈下を修正するアップコン工法

沈下修正の工法⑤:アンダーピニング工法(鋼管圧入工法)

アンダーピニング工法(鋼管圧入工法)とは、基礎下を掘削し、油圧ジャッキを使って鋼管杭を安定した地盤の支持層まで打ち込んでいきます。そこから油圧ジャッキを使って建物を持ち上げ沈下を修正します。

主に住宅や事務所など小中規模の建物の沈下修正で採用される工法です。支持層まで打ち込んだ鋼管杭で建物を支えることができ、再沈下の可能性はほとんどありません。
支持層までの距離は場所によって様々なため、事前に地盤調査が必要です。再沈下のリスクはほとんどありませんが、費用が高く、工期が長い工法です。

沈下修正の工法⑥:耐圧板工法

耐圧板工法(耐圧盤工法)とは、耐圧板(耐圧盤)と固定ベース、ジャッキで建物を持ち上げ、沈下修正する工法です。アンダーピニング工法と同じく掘削する必要があり、基礎と地盤との間でできた隙間は発泡モルタルなどで埋めます。工期は2〜4週間ほどです。

こちらも住宅や事務所など小中規模の建物の沈下修正に用いられる工法です。アンダーピニング工法と比較し材料費を抑え、杭を打ち込む手間もない分費用は割安になります。しかし、耐圧板が設置された層の下が軟弱地盤が続いている場合再沈下の可能性があります。

沈下修正の工法⑦:土台上げ工法(プッシュアップ工法)

土台上げ工法(プッシュアップ工法)とは、基礎と土台を切り離し、基礎は傾いたままになってしまいますが、ジャッキで土台を持ち上げ沈下を修正する工法です。基礎と土台にできた隙間は、モルタルなどを充填して閉塞します。

アンダーピニング工法・耐圧盤工法と同様に住宅や事務所の沈下修正に適した工法で、騒音や振動が少なく、周辺に迷惑をかける心配がありません。工期も一般的な規模の住宅で2週間程度、長くて3週間程度と、やや短くすみます。

ただし、将来的に再沈下する恐れがある点には注意が必要です。

沈下修正の工法⑧:薬液注入工法

薬液注入工法とは、凝固する性質を持った薬液を地盤に注入し、建物の沈下を修正する工法です。こちらも住宅や事務所など小中規模の建物の沈下修正で採用される工法となっています。

工事の規模が小さく、掘削もないため比較的工期が短く、費用も他工法と比較し安価です。再沈下の可能性は排除できませんが低く抑えられます。

沈下修正「アップコン工法」について

弊社のアップコン工法はウレタン注入工法に該当する沈下修正工法ですが、「工期が最短1日〜」「機械などの移動が不要」「操業を止めずに施工可能」というウレタン注入工法のメリットに加えて、ウレタン樹脂の注入間隔を原則1mごとに設けることで床下の空隙・空洞を100%隙間なく充填いたします。(注入間隔を広げた場合、一見まっすぐになった床でも、床下に空隙が残ってしまい再沈下やコンクリート床にひび割れが発生する可能性があります。)

また、ウレタン注入者と測量者は別に配置し、常にミリ単位でのレベル管理を実施します。適正な箇所から注入を行うことで、床のひび割れの発生を抑え床に負担をかけずに沈下を修正し精度の高い仕上がりを提供します。

専門の教育を受け、経験を積んだ自社社員がお客様に合わせた最適な補修計画の立案・全工程を責任施工で行っています。

アップコン工法の特徴

  • 特許取得(特許第6302611号 沈下した地盤上のコンクリート版を修正する方法)
  • 操業を止めずに短工期で沈下を修正
  • 工期は最短1日〜施工可能
  • 原則1m間隔の注入で床下の空隙・空洞を100%隙間なく充填
  • 100%自社社員による責任施工

 

“ウレタン” で課題を解決するアップコン株式会社

“ウレタン” で課題を解決するアップコン株式会社

私たちアップコンは、ウレタン樹脂を使用して工場・倉庫・商業施設・一般住宅などの沈下修正をおこなうこと、道路・空港・港湾・学校・農業用水路などの公共インフラの長寿命化を行うことで暮らしやすい社会とストック型社会へ貢献します。

また、ウレタン樹脂の新規応用分野への研究開発に取り組むことで、自ら市場を創りながら事業を拡大していきます。

「アップコン工法に適合する内容かわからない」「具体的な費用や工期が知りたい」「ウレタンでこんな施工ができないか」など、ご質問がございましたらぜひお気軽にご相談ください。

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