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2025/07/28 基礎知識

工場のコンクリート床が劣化する原因は?補修方法とアップコン工法について

工場のコンクリート床が劣化する原因は?補修方法とアップコン工法について

工場のコンクリート床は、機械や設備の荷重、フォークリフトによる日常的な移動や衝撃に常にさらされています。これらの負荷が長期間にわたって積み重なることで、コンクリート床は徐々に劣化し、ひび割れや沈下などの問題が発生します。

本記事では、工場のコンクリート床が劣化する主な原因と、それに対する効果的な補修方法である、私たちアップコン独自のコンクリート床スラブ沈下修正工法「アップコン工法」について詳しく解説していきます。

工場におけるコンクリート床の役割とは

工場におけるコンクリート床の役割とは

工場におけるコンクリート床は、単なる作業スペースではなく、さまざまな機能を持っています。ここでは、コンクリート床の役割を詳しく解説します。

重機・設備の支え

工場の床の平滑さや強度が欠けると、機械が傾いたり振動が伝わりやすくなるため、製品精度が低下し不良品が増加する恐れがあります。よって、工場のコンクリート床は、重量のある機械や設備を安全かつ安定的に支えるために設置されています。

また、床の耐荷重は使用環境により異なり、使用目的や設置機器に応じた構造計算が必要です。適切な荷重設計がされていない場合、早期の床劣化や破損のリスクが高まります。

作業環境の確保

コンクリート床のもう一つの重要な役割は、安全な作業環境の確保です。

工場の床にクラックが入っていたり、床の沈下により傾斜や段差が生じている状態では、事故のリスクが増え、作業効率も低下してしまいます。工場では、フォークリフトや台車などの頻繁な移動が行われるため、防滑性や平滑性、耐衝撃性を備えた床が必要となります。

製品・原材料の保護

コンクリート床の滑らかさは、製品や材料の保護にも大きく影響します。床表面の凹凸や床自体に傾斜がある場合、移動中の製品や材料に不要な振動や衝撃を与え、破損のリスクを高めます。また、傾いた床では機械の水平が取れずに生産ラインの精度が損なわれ、不良品が増加する可能性があります。

さらに、コンクリート床はその大きな熱容量により、工場内の温度変化を緩やかにする効果も果たします。これにより、製品や材料の保管環境を最適に保っているのです。

防音・振動対策

次に音や振動の伝播の軽減があげられます。

コンクリートのように単位面積あたりの質量が大きい素材は、質量則(質量が重いほど、周波数が高いほど透過損失が増加する性質)より音の伝播をカットします。

よって、工場内において製造ラインや重機稼動時に発生する衝撃音や振動を抑制することが可能となります。(一部反射音として、工場内に伝播します)

工場のコンクリート床が劣化する原因とは

工場のコンクリート床が劣化する原因とは

工場のコンクリート床が劣化する原因にはさまざまな要因があります。以下に、代表的な原因について示します。

過大荷重

工場内で使用される機械や設備が床の設計耐荷重を超える場合、コンクリート床に過剰な応力がかかり、ひび割れが発生することがあります。さらに、そのひび割れから水が侵入することで、コンクリート床内部の鉄筋が錆び、鉄筋爆裂が生じる可能性もあります。また、過大荷重が長期的に続くと、最終的には部分的な沈下が起こるリスクも高まります。

設計上想定されていない過重は、コンクリート床に深刻なダメージを与えるため、床の荷重設計は非常に重要です。特に、構造スラブではない床では、沈下が起こりやすく、工場内の作業に影響を及ぼす可能性があります。

地震の影響

地震によって工場の地盤に変動が生じると、不同沈下や支持力の低下が発生することがあります。こうした地盤の変動により、建物全体が不均等に沈下することで、傾斜やたわみが生じ、コンクリート床に引張力や圧縮力がかかり、床が破損する恐れがあるのです。

また、地震の強い振動そのものがコンクリート床にダメージを与え、ひび割れを引き起こす場合も少なくありません。特に耐震設計が不十分な工場では、このリスクが大きくなります。

経年劣化

日常的な業務での衝撃や摩耗、固定荷重や積載荷重による負荷が長期間にわたってかかることで、コンクリート床は徐々に劣化します。特にクリープ現象(長期間荷重がかかることによって起こる変形)やクラックは、経年劣化の典型的な症状です。

また、水や薬品を使用する工場では、床に生じたクラックから水分や化学物質が浸透し、コンクリート内部の鉄筋が錆びることで鉄筋爆裂が生じ、床の劣化が加速します。このような環境では、定期的な点検と修繕、中長期的な改修計画が不可欠となります。

工場の床の補修方法

ここからは、工場の床に発生した問題に対する具体的な補修方法をご紹介します。

表面補修

工場の床に発生したクラック(ひび割れ)や鉄筋爆裂(剥離)を補修する方法です。小規模なひび割れや軽度な表面の剥がれには、エポキシ樹脂やモルタルを使用した補修が効果的です。これらの方法は施工期間が短く、迅速に対処できる点が利点です。

ただし、小規模なひび割れは特定の条件下で再発しやすい性質があるため、補修後には伸縮目地などによる予防措置が推奨されます。

沈下修正

沈下修正とは、地震や地盤沈下によって生じた床の傾きやたわみを修正する工法です。建物の床下にある地盤が不均一に沈下すると、それに追随し床も沈下し、傾きやたわみが生じることがあります。

こうした変状は、放置すると構造的な負荷や安全性の低下、生産性の低下、作業環境の悪化につながるため、早期の対応が重要です。

沈下修正にはいくつかの方法がありますが、床を一度撤去してコンクリートを打ち直す「打替え工法」や、既存の床の上に新たなコンクリートを重ねる「増し打ち工法」が選択されることもあります。

また、ウレタン樹脂を用いたウレタン注入工法は、床下に発泡性のウレタンを注入することでコンクリート床を床下から押し上げ、床を水平に戻す方法で、工期が短く非破壊での施工が可能です。

ウレタン注入工法は、施工が迅速で機械や設備などの移動が不要で工場ラインの停止を最小限に抑えられるため、工場のコンクリート床の沈下修正に最適です。床の安定性を回復するだけでなく、ウレタン樹脂で表層地盤を締め固めるため、沈下を抑制する効果も期待できます。

私たちアップコンでは、国内のウレタン材料メーカーと共同開発した環境に安全な完全ノンフロン材の硬質発泡ウレタン樹脂を使用し、独自のコンクリート床スラブ沈下修正工法「アップコン工法」をご提供しております。

ウレタン注入工法についてはこちらの記事もご覧ください。

アップコン工法による工場の床の沈下修正、空隙・空洞充填

アップコン工法による工場の床の沈下修正、空隙・空洞充填

工場のコンクリート床の沈下修正、空隙・空洞充填にはその地盤に応じた多様な方法・工法がありますが、今回は、弊社のアップコン工法による沈下修正、空隙・空洞充填の流れについてご紹介します。

沈下修正、空隙・空洞充填の流れ①:現地調査

アップコンでは、工場などの施設担当者様や所有者様などから、

  • 床が傾き、機械や設備の水平が確保できない
  • 機械稼働時やフォークリフトの走行時に床が振動する
  • 台車が勝手に動いてしまう
  • 床下の空隙・空洞が原因で、工場内に虫が発生する
  • 新しく機械を導入する際に、床の強度が心配
  • 床の水平が取れず、AGV・AMRなどの導入を断念している
  • 床の傾き・段差により従業員が安全に作業できない

などのご相談をいただきます。

そのようなご相談をいただいたら、まず、アップコンの技術スタッフが現地を訪問し、コンクリート床の沈下レベル測量や床下の空隙・空洞の状況を調査します。

沈下修正、空隙・空洞充填の流れ②:調査(現状把握)・補修計画の立案

調査結果をもとに、現状(建物床の構造、沈下量、部位、面積、空隙量)を把握した上で、最適な補修計画を立案します。

沈下修正、空隙・空洞充填の流れ③:補修工事の実施

アップコン工法による補修工事を行います。

【施工の流れ(アップコン工法)】

  1. 1.施工プラント車配置・施工前測量
  2. 2.ウレタン樹脂注入孔を削孔(直径約16mm、1m間隔)
  3. 3.床下へウレタン樹脂注入
  4. 4.床下のウレタン樹脂 充填確認
  5. 5.施工後測量・
  6. 6.穴埋、清掃・片付

【宮城県】製袋加工工場 土間床沈下修正工事 土間床下空隙・空洞充填工事 ▲【宮城県】製袋加工工場 土間床沈下修正工事 土間床下空隙・空洞充填工事

アップコン工法では、沈下が生じたコンクリート床下の地盤に対して、ウレタン樹脂を注入し、短時間で発泡する圧力を利用して、床を押し上げ沈下を修正します。

アップコン工法は、沈下したコンクリート床を解体して新設する場合と比較して、大規模な仮設工事や多様な工種を必要としないため、施工性・経済性にも優れていると言えます。

(一般的なコンクリート床打替え工法とアップコン工法を比較すると、工期を1/10程度に短縮できます)

アップコンの施工事例>

工場の床を「アップコン工法」で操業を止めずに補修

アップコン工法は、地震や地盤沈下による工場のコンクリート床の傾き・段差・たわみ、コンクリート床下の空隙・空洞を、硬質発泡ウレタン樹脂を使用して、短工期で修正します。

既設のコンクリート床を壊さない工事のため、重機を使った大掛かりな解体作業が不要です。また機械や荷物の移動をせずに施工が可能で、工場の操業を止めることなく修正します。機械や荷物の移動が難しい場合や、生産ラインを止めることができない場合に最適な工法です。

施工においては、弊社で専門の教育を受け、経験を積んだ自社社員が現地調査から、補修計画の立案、施工完了まで一貫して行い、全工程を責任施工で実施します。

アップコン工法とは

詳しい施工の特長や施工の流れ、よくある質問などについては「アップコン工法とは」をご覧ください。

“ウレタン” で課題を解決するアップコン株式会社

“ウレタン” で課題を解決するアップコン株式会社

私たちアップコンは、ウレタン樹脂を使用して工場・倉庫・商業施設・店舗・一般住宅などの沈下修正をおこなうこと、道路・空港・港湾・学校・農業用水路などの公共インフラを長寿命化させることで暮らしやすい社会とストック型社会へ貢献します。

また、ウレタン樹脂の新規応用分野への研究開発に取り組むことで、自ら市場を創りながら事業を拡大していきます。

「アップコン工法に適合する内容かわからない」「具体的な費用や工期が知りたい」「ウレタンでこんな施工ができないか」など、ご質問がございましたらぜひお気軽にご相談ください。

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