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2025/06/26 基礎知識

【地盤沈下への対策】地盤改良の工法・日々の注意点・沈下修正工事など

【地盤沈下への対策】地盤改良の工法・日々の注意点・沈下修正工事など

今回は、工場や倉庫、店舗・商業施設などの地盤沈下に対してどのような対策があるのか、日常で対策できる工夫や、地盤改良・基礎工事の工法、すでに沈下が進んでいる地盤に対してできる対策(沈下修正)についてご紹介します。

また、そもそも地盤沈下とは何か、また地盤沈下による影響にも触れていますので、ぜひご覧ください。

地盤沈下とは?

地盤沈下とは、地盤が徐々に沈んでいく現象です。

地盤沈下の原因はさまざまで、例えば地下水を大量に汲み上げることで地盤が収縮したり、軟弱な地盤が建物自身の重みで圧縮されたりすることが主な原因として挙げられます。また、地震による地盤の変形や、台風・豪雨が地盤を緩ませたり土砂を流出させたりすることで地盤沈下が誘発されることもあります。

地震による液状化現象のように短時間で大きな変形が起こる場合もありますが、通常は上記のような原因によって長い年月をかけてゆっくりと進行していきます。

なお、地盤沈下の中でも、地盤が全体的に均一に沈下する等沈下は建物への影響は比較的少ないとされており、たとえ問題が顕在化していたとしても、急を要する事態ではないと判断されがちです。しかし地盤沈下が進むと建物や床が傾いたり亀裂が入ったりするなどの被害が発生する恐れがあるので、放置せずに対策するのが望ましいです。

一方で、地盤が不均一に沈下する不同沈下は建物への影響が大きく、損傷の進行が速いので、等沈下と異なり早急な対策が必要となります。

地盤沈下によるさまざまな影響

地盤沈下の影響は多岐にわたります。

具体的には、建物や床の傾きやひび割れ、配管の破損などがあげられます。これらの問題がさらに進行すると、めまいや頭痛といった健康被害が発生したり、ドアの開閉に支障が出たりといった問題が発生する他、水道管やガス管の破裂による漏水やガス漏れ、天井の落下などを引き起こす危険性も持ち合わせています。

また工場や倉庫などの床が傾いていると、荷物がまっすぐに積めない、機械の動作が不安定になる、作業時に水平が維持できないなどの影響が出やすく、その結果、製品の品質低下や納期の遅延、作業員の安全性低下といった事態につながる恐れがあります。

また、店舗・商業施設などの床が傾いていると、ショッピングカートが勝手に動き出し、思わぬ事故につながる危険性があります。

関連記事:建物の傾きがもたらす健康被害と対処法|工場や倉庫、商業施設の安全のために

地盤沈下への対策

地盤沈下への対策

地盤沈下は一度進行すると回復が難しく、長期的な対策が必要となります。ここでは、工場や倉庫、店舗・商業施設などを日々利用する際にできる地盤沈下対策と、建築・建設前に可能な地盤沈下対策をご紹介します。

地盤沈下の対策①:地下水の使用を最小限に抑える

地盤沈下の大きな原因の一つが、工業用水としての地下水の過剰な汲み上げです。地下水を利用している製造業などの工場では、地下水使用の削減・効率化や、代替水源の活用を行い、地下水の使用量を減らす取り組みが重要となります。

地盤沈下の対策②:荷重を分散させる

設計荷重を超える過剰な荷重が集中すると、地盤への負担が大きくなり、地盤沈下が起こりやすくなります。そのため、設計荷重を理解し、機械や荷物を分配配置するなどして地盤に負荷をかけない意識を持つようにしましょう。

地盤沈下の対策③:地盤改良・基礎工事を行う

これから新たに建築・建設する場合や、取り壊して建て直すことを検討しているのであれば、地盤改良や基礎工事で地盤沈下の対策を実施します。日本は軟弱地盤の地域が多いので、地盤改良や基礎工事を必要とする場所が多いのです。

地盤改良とは、地盤を強くしたり、安定させたりするための工事です。地盤の状況や建物の規模、使用方法に応じてさまざまな方法が用いられます。

基礎工事は、建物と地盤をしっかりとつなぐために基礎を造る工事や、地表近くに支持力が足りない場合、強固な支持層まで杭を打って荷重を支える杭基礎工事などがあります。

なお、これから土地を選ぶのであれば、もともと地盤が強い土地を選ぶのが一番の対策だと言えるでしょう。

地盤沈下を防ぐ地盤改良工事・基礎工事の工法

次に、地盤沈下を防ぐ代表的な地盤改良工事・基礎工事の工法について、具体的な工事内容やメリット・デメリット、向いている環境などをご紹介します。

表層改良工法

表層改良工法とは、地表から浅い部分の軟弱地盤を、セメントなどの固化材を混ぜて固めることで地盤の強度をアップさせる工法です。

深い部分まで改良する他の工法に比べて費用が抑えられ、重機が入りづらい場所での施工も可能で、コンクリート片や石が混ざっている地盤にも対応可能です。

ただし、地表から1.5m程度の浅い部分しか改良できないため深い地盤の改良には向かないとされています。

柱状改良工法

柱状改良工法とは、深さ2~8mの地中に水とセメントを注入し、現地盤の土と攪拌を行うことで、円柱状の固い地盤を築き、地盤を強化する仕組みです。

柱状改良工法のメリットは、一般的な戸建て住宅から、工場のような中規模の建物まで、幅広い建物に対応できることです。また、比較的地表から浅い部分での施工になるため、工期と費用が抑えられます。

ただし、有機質土などのセメントと混ざりにくい性質を持つ地盤では固化不良を起こす恐れがあるので、基本的にこの工法は採用しません。さらに、一度施工すると元の状態に戻すのにかなりの費用がかかるので、将来的に土地を売却する可能性が高い場合はあまりおすすめしない工法です。

そのため、柱状改良工法は支持層が浅い地盤や建物の不同沈下には効果的な対策ですが、土の質に影響を受けやすいのと、長くその土地を保有すると決めた土地でないと費用の負担が大きくなる点には注意が必要です。

鋼管杭工法

鋼製の管(鋼管)を強固な支持層まで打ち込んで建物を支持する杭として利用する工法です。建物の荷重を鋼管杭を介して強固な地盤に伝えることで、軟弱層が厚い場合でも支持力を確保し、沈下の抑制を図ることができます。

支持層が深い場合でも、鋼管杭の継ぎ足しを行うことで対応が可能で、狭い敷地でも施工しやすいのもメリットです。

一方デメリットとしては、施工方法によっては騒音や振動が発生する可能性があります。 また、地盤の状況を正確に把握する必要があります。地盤調査が不十分な場合、杭の選定や施工方法の誤りにつながる可能性があります。

すでに地盤沈下が発生している場合の対策

すでに地盤沈下が発生し、工場や倉庫、店舗・商業施設などの建物や床に沈下による傾きが発生している時は、沈下修正という工事で傾きを修正していきます。

通常、建物全体の傾きにはアンダーピニング工法などの基礎を押し上げ修正する工法か、コンクリート床の傾き・たわみ・段差にはウレタン注入工法などの床下から押し上げ修正する工法が用いられます。

そして、どの方法・工法を選択するかは、建物構造物の規模や地盤の状態、コスト、工期などを考慮して判断します。

ウレタン注入工法とは

数ある沈下修正の中で、ここでは私たちアップコン独自の沈下修正工法「アップコン工法」が属する「ウレタン注入工法」についてご紹介します。

ウレタン注入工法とは、ウレタン樹脂をコンクリート床下の地盤に注入し、ウレタン樹脂の発泡圧力で土間コンクリート床を押し上げる工法です。すでに沈下が発生して生じた土間コンクリート床のたわみや傾き、段差を修正する工事ですが、ウレタン樹脂で表層地盤を締め固める効果もあるため、表層地盤のゆるみを改善して沈下を抑制することも可能です。

地盤沈下は最低でも5年前後、長い場合は10年以上も継続することがあるので、沈下の進行が継続して見られる場合は、地盤沈下の対策も兼ねて定期的にウレタン注入工法での沈下修正を行うケースもあります。

関連記事:【沈下修正の基礎知識】工事内容・工法・施工の流れなど

沈下修正「アップコン工法」の特長

アップコン工法は、国内のウレタン材料メーカーと共同開発した沈下修正に適した硬質発泡ウレタン樹脂を使用したウレタン注入工法です。

沈下・段差・傾き・空隙・空洞が生じた既設コンクリート床下の地盤にウレタン樹脂を注入し、床下に注入されたウレタン樹脂が、短時間で発泡する圧力で地盤を圧密強化しながら、地耐力を向上させ、コンクリート床を下から押し上げて元のレベルに修正します。

注入されたウレタン樹脂の影響範囲は半径約1mのため、アップコン工法では原則1m間隔での注入を行うことで、床下の空隙・空洞を100%隙間なく充填すると同時に、再び沈下するリスクを最小限に抑えていきます。

また、ウレタン樹脂注入者と測量者は別に配置し、常にミリ単位でのレベル管理を実施します。適正な箇所から注入を行うことで、床に負担をかけず沈下を修正します。100%自社社員による責任施工で精度の高い仕上がりを提供します。

既設のコンクリート床の取壊しをせず修正するため、機械や荷物を移動させる必要がありません。工期も最短1日(ウレタンの最終強度は約60分で発現)と工場・倉庫・店舗・商業施設などの操業・営業を止めずに施工が可能です。

日本全国に対応していますので、工事期間やお見積もりのご相談など、お気軽にご連絡ください。

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地盤沈下への対策は状況に応じた工法を

今回は、地盤沈下への対策についてご紹介しました。

地盤沈下への対策は地盤や建物の状況、周辺環境などに応じて判断する必要があるので、「まだ大丈夫だろう」と安易に判断せず、専門家に見てもらうのが安心です。定期的に建物診断や地盤調査を受け、さらに日常においても、地下水の使い過ぎや荷重のかけ過ぎなどに注意してください。

“ウレタン” で課題を解決するアップコン株式会社

“ウレタン” で課題を解決するアップコン株式会社

私たちアップコンは、ウレタン樹脂を使用して工場・倉庫・商業施設・店舗・一般住宅などの沈下修正をおこなうこと、道路・空港・港湾・学校・農業用水路などの公共インフラの長寿命化をおこなうことで暮らしやすい社会とストック型社会へ貢献します。

また、ウレタン樹脂の新規応用分野への研究開発に取り組むことで、自ら市場を創りながら事業を拡大していきます。

「アップコン工法に適合する内容かわからない」「具体的な費用や工期が知りたい」「ウレタンでこんな施工ができないか」など、ご質問がございましたらぜひお気軽にご相談ください。

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