ホームニュース一覧第330号(2023/10/20発行)どっち?・その4
2023.10.27ニッポン上げろ!

第330号(2023/10/20発行)どっち?・その4

※この記事は沈下修正の専門家アップコンの社長メルマガ〔ニッポン上げろ!〕のバックナンバーです。
【メールマガジンの新規登録はこちら】

 

 

こんにちは!
コンクリートを上げるからアップコンの松藤です。

 

【アップコン起業秘話】第328号(2023/10/13発行)どっち?・その3 の続きです。
【アップコン起業秘話】まとめはこちら

 

 

「松藤さ~ん!」

 


えっ?

こんなところで私の名前を呼ぶ人って誰?

  
それもちゃんと「まつどう」と呼んでいるし。
よく知らない人は「まつふじ」と呼んだりするので
そういう時は振り向かないようにしているのですが・・・。
宮益坂上の陸橋付近はそれなりに大勢の人がいて
ひと間違えだったらちょっと恥ずかしい思いもするかもしれないのに・・・。 

  
「松藤さ~ん!」

  
ゆっくりと振り向いてみると一人の男性が全速力で坂を駆け上がってきています。
もう彼が3メートルくらいまで近づいてきた時に私は

  
「あっ!Tさん!」

  
やっと気が付きました。

  
「ハアッ!ハアッ!ハアッ!」

  
彼は結構遠いところで私を見つけ、全力でダッシュしてきたようでした。

  
「松藤さん、お久しぶりですっ!」

  
「えっ、Tさん、すごいっ!偶然だよね。出張で東京に来てるの?」

  
「いえいえ、私、会社辞めたんです。」

  
「えっ?」

  
「先月辞めて、5月には中国へ行くことになりました。」

  
「何々、どういうこと?」

  
「松藤さん、ちょっとお時間あります?」

  
「ああ、大丈夫だけど。」

  
「ご報告したいこともあるので、お茶でも飲みませんか?」

  
「いいよ。」

  
I先生の建築設計事務所へは1時間ほど遅れると電話をし、
私たちは近くのカフェに入り、話をすることにしました。

  
 Tさんは生命保険会社の営業マンです。

  
前職、すなわち私が設立したオーストラリア資本の
沈下修正会社の保険を取り扱っていました。
彼のオフィスは福岡の明治通り沿いにあり、  
また中州にも近かったことから2人でよく飲みに行っていました。
私にとっては気心の知れた数少ない友人の一人です。
私たちはカフェオレとアイスコーヒーを頼んでお互いの近況を話し始めました。

Tさんは私が前職を辞めた後、
すぐに保険の変更のためDIへ会いに行ったそうです。
そこで言われたのが保険をすべて解約するということでした。
Tさんの話によると、私が辞めた後、
営業ができるものがいなくて売り上げが4分の1まで落ちたということでした。

  
「このままではやがて前社は潰れてしまうかもしれません。」
  
「そうなんだ。でも、私はもう関係のない人間だからねぇ。」
  
「残念ですよね。やっていることはいいことなんだけど、やっている人たちがねぇ・・・。」

「そうか、潰れるかもしれないんだ。」

私はTさんからの報告を聞き、少し複雑な気持ちになりました。
私が設立した会社だから、引き継いだものが成長させてほしいという気持ちと、
私を追い出した会社だから、潰れてしまえばいいのにという気持ちが

半々あるように思えてきました。

 

その後、Tさんは自分自身の近況を語り、
彼は3月に退職し、5月から別会社の中国営業所のある深圳へ赴任するということでした。
中国は経済特区を作り、
これから経済でも世界に追いついていこうという勢いが
感じられるようになってきていました。
私は、彼に前社を辞めた後はブラブラ充電期間と称しながら
懸賞生活をしていたことを話し、
それにも飽きてようやく職探しを始めたら15社からオファーが来たので
今からどういう会社がいいのか相談しに行く途中だったんだよと話しました。

 

  
1時間があっという間に立ちました。
私たちは再会を約束し、それぞれの方向へカフェを後にしました。

  

  

  

  

  

  
「そうか~。
潰れるかもしれないんだ~。
やっていることはいいことなのにねぇ・・・。」

 

私は心の中で呟きながら、
I先生とRさんのいる建築設計事務所へと入っていきました。

カテゴリー