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2026.03.30ニッポン上げろ!

第582号(2026/3/13発行)支援はブームじゃない!・2

※この記事は沈下修正の専門家アップコンの社長メルマガ〔ニッポン上げろ!〕のバックナンバーです。
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こんにちは!
コンクリートを上げるからアップコンの松藤です。

「こんな状況じゃ、調査できないじゃん。」
私たちは何もすることができず、
元請けの責任者の到着を待ちます。
待っている間、当然時間は経っていきます。
今日の調査は時間との勝負なのです。
なぜかというと、この現場には当然電気も寸断されているため、
店舗内の照明はつきません。
外が明るいうちだけが調査可能な時間ということです。
午前8時頃、ようやく元請けの人がやってきました。
私は
「○○さん、これどうします?」
とヘドロの方を指さして尋ねます。
と、○○さんが
「大丈夫、人集めておいたから。」
と地元なまりの声で言います。
「どういうことですか?」
「もうちょっと経ったら、10人集めておいたから、彼らがヘドロを撤去してくれるから。」
「えっ?今からやるんですか?」
「そう。大丈夫だから。」
「いや~、そんなこと言ったって、こんなにヘドロがあるじゃないですか。」
「彼らが来たら、松藤さん、悪いけれど彼らにどこのヘドロをとってほしいか
指示してくれないかな。」
「どういうことですか?」
「測量の三脚とか置くところとか、測量ポイントで人が立つところとか、
言ってくれれば、そこのヘドロをみんなとってくれるから。」
「そんなんで間に合いますか?」
「大丈夫、みんなまじめだから。」
「ほんとですか?」
「ほ~ら、来たみたいだ。」
と○○さんが見ている方向から小型の平ボディのトラックが
こちらへ向かってきています。
トラックが到着すると○○さんが運転手に何か話しかけています。
「松藤さん、彼に何でも言ってください。
あと30分もすれば全部で10人になるから、
そりゃ、あっという間にヘドロ取りますって。」
と言って○○さんは現場を去って行ってしまいました。
地元の10人の方々が集まりました。
今日1日の仕事のために集められてきた人たちです。
彼らはみんな震災で
仕事や家や家族を失った人たちだそうです。
私たちも今日中に、外が明るいうちに、
調査を終わらせ、川崎まで帰らないといけません。
今日中に帰らないと宿泊先はありません。
「よし、始めようか。」
私は技術スタッフと一緒に
「ここのヘドロ取ってください。」
「こっちもお願いします。」
と応援の10人の方々に言いながら、
私たちの調査に必要なスペースのヘドロを掻き出してもらいました。
外は明るいとはいえ、店舗内はやはり薄暗闇です。
タイベックを着て長靴を履いて
懐中電灯で照らしながら測量します。
昼休憩も取らず、黙々と測量します。
日が沈んだら調査終了となってしまうので
時間を計算しながら効率よく行っていきます。
10人の働きぶりはすごかったです。
彼らも一言もしゃべらず、昼休憩も取らず、
スコップとネコを使ってヘドロをトラックの荷台へ上げていきます。
夕方、私たちの作業は完了しました。
床レベル測量も空隙量調査も無事終了です。
ここには電気もなければ水もありません。
私たちは用意していたウェットティッシュで
顔や手を拭います。
最後に10人の方々ともお別れしました。
それでも身体中からヘドロのにおいが漂っている感じです。
排水溝のどぶ臭いにおいをかいだ時に、
あの時の風景が蘇ってきます。
「あの時の記憶が決して風化されることはありません。」
※P.S.
アップコンがクラブパートナーとして応援している
川崎フロンターレでは、
クラブ独自の被災地復興支援活動として
「東日本大震災復興支援活動Mind-1ニッポンプロジェクト」
を2011年に立ち上げ、
「支援はブームじゃない」を合言葉に、
継続的な活動を行っています。

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